ウイグルとの出会い

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zoom RSS (2) 特別な羊

<<   作成日時 : 2006/11/30 13:34   >>

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اَلسَّلامُ عَلَيْكُمْ
  アッサラームアレイコム



 今年の干支は未です。
 未年生まれの私は羊肉が大好きで、これもウイグルとの出会いがあったからこそなのです。

 1985年4月から3年間、カシュガルに入り浸りしていた時期は、カワップ(串焼き羊肉)三昧をし、昼・夕食はカワップだけの生活を半年間したりしました。

 一度、カシュガルの羊肉を味わってしまうと、ものすごく美味しいという味覚情報が脳にインプットされてしまったかのようで、どうしても食べずにはおられないような衝動が湧き起こってくるのでした。

 カワップ屋の前を通るたびに、まるでパブロフの犬のごとく、生唾を飲み込むようになってしまいました。

  【カシュガルの カワップ食わぬは 罰当たり 来た甲斐無し 来ぬも同然】

 結果、羊肉を嗜好するようになり、毎日の食事に羊肉が欠かせなくなりました。

 今ではウイグル人の妻が羊肉以外は食材にしないこともあってか、他の肉類が食卓に上がることはなく、我が家の冷凍庫には羊肉が鎮座し続けているのです。
 
 新疆に住むウイグル家庭でも我が家同様、肉といえば羊肉を指し、ウイグル料理全般といってもいいほどに羊肉が使われています。

 世界に13億の人口を抱えるムスリム(イスラーム教徒)にとっては、羊肉はなくてはならない食材で、「食卓の王様」といえます。
 ですから、読者諸氏が羊肉に親しみ、好んで食卓に乗せるようになれば、同じ釜の飯を食ったかの如く、13億人のムスリムとの交流がスムーズにいくかも知れません。

 殊に異文化理解においては、食わず嫌いを改めることが肝要だと思います。
 食は生きた文化であり、異文化を知る早道です。
 食を受容する者は、即、異文化のよき理解者だともいえるのではないでしょうか。

 因みに、羊の渡来は推古天皇御世の599年秋、百済から献上された、と日本書紀に記載されています。
 ただし、羊肉を口にするようになるのは大正以降とのことです。
 
 敬虔なムスリムは、羊肉だからといって豚肉も販売する肉屋で買うことは決してありません。
 ムスリムはハラル(ムスリムに許された清浄な食品)を食しますので、ムスリム食品店で購入します。

 幸い私が住む神戸には、神戸モスクがあり、モスク周辺に数軒、パキスタン人経営のムスリム専門食料品店があります。
 羊肉やナンをはじめ、インスタントラーメン、米、香辛料まで揃っているので、ムスリムに限らずエスニック料理に興味を持つ日本人も食材探しに同店を訪れるとのことです。

 2月11日は、ムスリムにとって最も大事な宗教行事である犠牲祭(ウイグル語でクルバン・ヘイット、アラブ語でイード・アルアドハー。イスラム暦の12月10日から4日間。12月10日はマッカ巡礼の最終日で、巡礼者は犠牲を捧げる。これに合わせてイスラム世界では各家庭で犠牲(羊)を屠る。イスラーム暦<ヒジュラ暦、太陰暦>は1年355日で、各宗教行事は毎年11日ほど早まる)でした。

 犠牲祭は、イブラーヒーム(マッカのカーバ神殿を建立した人物といわれ、旧約聖書にはヘブル人<古代イスラエル民族>の祖として、新約聖書には信仰の父として記載)が、アッラーから信仰を試すため息子イスマイール(旧約聖書にアラブ民族の祖と記載)を犠牲に捧げるようにと命じられ、命令通りイスマイールを屠ろうとしたので、アッラーはイブラーヒームの誠意を受け入れ、神が親雄羊を現して身代わりに供えさせたとの故事から、この日を記念して祝うようになったといわれています。

 羊肉(=食)と犠牲祭(=祭り)とイスラーム教(=信仰)は一体をなすものといえます。
 この三位一体はウイグル(=ムスリム)にとってなくてはならぬものなのです。
 ですから、ムスリムにとっての羊は、アッラーからの賜りものであり、アッラーへの捧げものでもあるので、家畜の範疇を越えた特別なものなのです。
 また、冠婚葬祭にしろ、日常にしろ、羊肉はムスリムからは切り離せません。

 蛇足ですが、最初に天山文化交流協会役員の方々とお会いしたのは、昨年の犠牲祭集団礼拝後、神戸・新長田のアジア文化交流プラザにてウイグルについての講義をした会場でした。

 今年の犠牲祭は、天山文化交流協会・留学生代表運営委員ご夫婦や留学生たちと一緒に神戸モスクで礼拝することができました。
 また、協会顧問宅へお邪魔して、とても美味しい水餃子のおもてなしも受けました。
 同日、留学生代表運営委員宅に泊まり、一堂に会したウイグル同胞に混じって羊肉の饗応にあずかった妻子は、まるで新疆で犠牲祭を迎えたかのようでとても楽しく過ごしたとのことでした。

 来年の犠牲祭は、ウイグルをよりよく知りたいとお考えの読者諸氏とともにお祝いし、友情の大輪を咲かせたいと願っています。 2003/04

天山文化交流協会会報第9号2003/04/14より転載改題一部改稿


江上鶴也

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